失恋備忘録




この夏、10年ぶりくらいに恋をしていた。

思えば中学3年生の時以来であるから俺の人生史上ではかなり特異な出来事といえるだろう。

結末はタイトルの通り振られているのだけれど。

兎にも角にも、人を好きになれるんだということに嬉しさを覚えたのは事実だ。

人に深く関わることが怖かった。

いや、関わること自体が怖くて仕方なかった。まだ怖い。

自分自身に貼ったレッテルは根強くて、自分の存在は人様にとって迷惑でしかないと感じてしまう。

人を不快にさせてしまう汚れとでも言うのか、そんな風にすることで逆に自分を正当化させていた。

自分が汚れているから、強く求めても手に入らないし、求めること自体が虚しい行為として選択肢から排除されていき、埋もれていく。

失敗は、やはり俺なんか求められていないんだと、またその呪いを強化してしまう。

そんなことは不毛だとわかっているので少しずつは改善してきているはずなのだけど、気を抜けばそんな沼にはまっているので、こいつ頭が悪いなと思う。

まあそんな僕でも人を好きになるというリスクを背負えたのは成長を感じて嬉しい。

人を好きになると言うのは久しぶりでとても楽しく幸せな時間だった。

そんな貴重な経験に加えて失恋のショックまで味わえるとはとてもお得だ。

人生の豊かさは感情の豊かさにあると思う。

たくさんの感情を味わっていくことが何よりも幸せだ。

そう言い聞かせるのであった。

失恋した後に書いていた恥ずかしい文章

晒すのはとても吐き気を催すけれど、もはや吐き出して仕舞えば良いと言う理論で半ば人生の黒歴史とでも呼べるようなものを吐露しよう。

あわよくば誰も読まないことを願って。

彼女が笑顔であってくれるならいい。
そんな風に心から思えたなら本当の愛なんだろう。
僕がそう思えるほど強ければいいのに。

彼女の幸せに僕は必要なかった。
僕の描いていた未来はもはや叶わない苦しみへと変わり
気にも留めなかった夜景がやけに心に染みる

痛みを知るから人は優しくなれる。
優しい人は痛みを知っている人。
僕は優しくなくていいからこの痛みを忘れさせて欲しい

同じ気持ちでいてくれたらいいのに。
そんなものどこにも存在しえないのかもしれない。
僕らは本来的に気持ちを共有できないのだから。
たとえ言葉にできてもそんなのはただの記号だ。
あり得ないことを願うほどに苦しみは大きくなる。
わかっている。だけど心はわかってくれない。

好きになれて幸せだった。
誰かを好きになるなんて久しぶりで、
大人になるうちに失ってしまったと思っていたから。

沈んで澱んでいく。身体が重い。
いつもはどうやって60kgを持ち上げていたのだろう。
まとわりつく硬い鱗のような重力に逆らえない。
君のことを考えていたとき、この重みはどこにいっていたのだろう。
どこへだって飛んでいけると思っていたのに。

雨が僕の輪郭をなぞる。
流れる涙が溶けるように僕の輪郭も曖昧にして欲しい。
冷たさも痛みも重さも外に流れて、この世界と混ざり合いたい。
雨の音が僕の叫びを飲み込んでいく。
君のもとには届かない。
声は雨とともに地面へと吸い込まれる。

ただ心ときめかせていた少し前の自分を羨ましく思う。
未来の痛みを考えない浅はかな自分を少しだけ恨む。
今を生きるしかないなんて聞き飽きた。
ただ心地よい気怠さの中で沈んでいたい。
それが生きていると言えないのなら死んでいてもいい。

エスペランサ。
赤ワインを口に運ぶ。
ただ酔いたいという気持ちだけが僕の口に赤い希望を流し込む。
香りも、味も、色も、深みも、どうでもいい。
漂いたい。揺蕩いたい。全て忘れて。
現実が掠れて見えなくなるまで。
希望は痛みを伴うから、明日の自分は今日の自分を恨むだろう。

何にだって僕はこの痛みと結びつけてしまう。

恥ずかしい。
全て消してしまいたくなる。
全選択してデリートキーを押したい。
痛々しい感傷なんて何の役にも立たない。
恥ずかしさで余計に胸が締め付けられるだけだ。
そう思うのと同時にこの傷を残しておきたい自分がいる。
不可思議で奇妙奇天烈だけど事実だ。

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